工作部長が語るパッケージビースト制作の裏話 -その1-
毎年の恒例行事にしたい
昨年の夏に開催し、ご好評をいただいた工作教室。
参加者の皆さまの満足そうな笑顔に、スタッフ一同大きな喜びを感じ、「また来年もやりたい!」との流れから、弊社の恒例行事として開催することとなりました。

記念すべき第1回目の題材は“ペットボトルランタン”。
ペットボトルを利用し、広範囲を照らせるランタンを楽しく飾れる工作キットです。
「エコと防災」というテーマからキットを開発。
教室当日は、様々な装飾が施されたランタンを目にし、スタッフ一同わくわくしていました。
↓昨年の工作教室までの道のりはコチラから。
テーマは「動きと再生」
初回のテーマは「エコと防災」としていました。

来年の開催が決定したタイミングで、
「次回は“動き”をテーマにしたい!」
との思いがあり、そこから「動きと再生」というテーマにすぐ決まりました。
参加した人たちに「珍しい体験ができた」と喜んでもらいたく、
単調な動きだけでなく、面白みのある・・・ なにか記憶に残るような動きするもの・・・ とワードを煮詰めていくこと数秒。
ある造形物が頭に思い浮かびました。
“ストランドビースト”
オランダの彫刻家 テオ・ヤンセン氏が発明した風の力で歩くロボット。

まるで生き物のように動き回る姿は、「圧巻」のひとことで、自身の記憶に深く記憶に刻まれていました。
風力を動力にしている点も“エコ感”があり、工作教室の題材にぴったりです。
開催前から成功を確信。
期待に胸膨らませつつ、とりあえず見よう見真似で自作してみることにしました。
見た目は簡単!中身は激ムズ!!

まずは構造を理解するため複数の資料や動画を観察しつつ、脚を組み始めて15分後・・・
想像していた以上に難解な構成であることがわかりました。


まず、資料通りに組んでもうまく動きません。
「棒の順番どうなってるの!?」と、その複雑さに頭がこんがらがります。


大量のアイス棒を消費しながら、失敗→改善を繰り返すこと数時間。

なんとかソレっぽいモデルが完成。

実際に動いたところを見た瞬間、脳汁が溢れ出るのを感じました。
コツを掴めば早いもので、大量に脚を増産。

手始めに8本足のモデルを制作。


見た目は“ストランドビースト”のような雰囲気に近づいたものの、いくつかの問題が明らかになりました。

なかでも特に無視できなかったのが、以下の3点。
① 不安定
8本足でようやく自立。4本足だと歩行すらままなりません。
② 高い精度が必要
中央のモーターから動力を各部に伝える構造のため、ミリ単位の調整が求められます。
③ 時間がかかる
初回の制作時は丸2日を要しました。
どれも工作教室の教材として、致命的な問題です。
「もう、コレ・・・諦めるしかないのでは?」
と、挫けかけてはいたのですが、実際にビーストを組むことで気づいたことがありまして、
何と言うか・・・ もうね、

ロマンの塊ですよコレ。
「実際に“見て触わって”初めて伝わる類の”だな」と思いました。
なんでしょう? コミカルなのにキモかわいい。 愛嬌ある動きなのです。
失敗の連続で感覚もマヒしていたこともあり、
この動きの素晴らしさを小学生たちに伝えることこそ、我が使命なんじゃないかな?。
とすら思うようになってました。
二足歩行でいこう!
色々と試行錯誤した結果、「二足歩行+車輪」の構成が一番安定かつ、短時間で組めるキットに落とし込めることが判りました。

早速、プロトタイプを組んでみて走らせてみます。

トコトコ歩く様子。
ずっと見ていると、“ハイハイする我が子を見守る親の気持ち”になってました。


何度かの試作を経て、スムーズに動く脚の比率が決定。本格的なキット制作に向け、3Dプリンターにてモデルを制作しました。

ミリ単位で調整しつつ、手荒く扱っても大丈夫な強度を目指します。
キット開発をスタート

試行錯誤の末、大きく分けて3つの基本パーツで構成された工作キットが完成しました。
次回はキット開発の裏側についてお話をしようと思います。
– 続く-

“小さなものは指輪“から“大きなものは建物”まで。
ものづくりが大好き。昼夜問わず何かしら作ってます。
興味が湧いたらひたすらのめり込む性質のため、スマホには絶対にゲームをインストールしない主義。
企画や工作の記事が多めです。