~鉛筆のキャップにセルロイドを詰めて点火。弧を描いて飛んでいく様はまるで「ロケット」のようだった。~
まぶたの裏に映る思い出は遠き過去、紐解くは禁断の遊戯 。
※火気を扱う事になるため十分にご注意ください。
※万が一の場合に備えての消化手段は準備した上での実験です。
火災・事故につきましては一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。
目次
きっかけは「昔ばなし」から
「昔の鉛筆キャップは “スリット”が入ってなかったんだよ。細かく切った “セルロイド” をキャップに詰めてね、口をペンチで塞ぐの」
「それをね発射台の上に乗せてからロウソクの火で炙るとね “ピューーーーーーーッ”と凄い勢いで空高く飛んでいくんだよ。」
いつもお世話になっているお客様から「鉛筆キャップロケット」の話を聞かせていただきました。
(´-`)「それ、メッチャ面白そうですね?」
遠い過去の思い出をまるで昨日のことのように色鮮やかに語り、その少年のような笑顔に「ぜひ自分も飛ばしてみたい!」 との衝動に駆られるも、当時の遊びを再現するには材料を揃えることが困難と判明。
このまま終わりにするのも勿体ないので「できるところまではやってみよう!」と行動を開始しました。
入手困難な材料
とりあえず「鉛筆キャップロケット」を作るために必要な材料を書きだしてみると、
・“スリットの入っていない”鉛筆キャップ
・燃料となるセルロイド
この2点が大きな障害となっていることが判明。
本腰を入れて調べてみますと“卓球に使うピンポン球”の素材がセルロイドであることが判りました。
早急に100円ショップに足を運び、悠々と原材料を見ますと「ポリエチレン」と明記されています。
(#´-`).oO (話と違うじゃんよ・・・)
その後の調べで2012年度以降に製造されたピンポン球は原材料に変更が余儀なくされたことが判明。
このまま入手は不可能か?と諦めかけたタイミングで「ギターピック」にセルロイドが使用されているという情報に遭遇しました。
早速在庫のあるお店にて購入。
1枚10円、10枚セットで100円+メール便の送料。
予定よりリーズナブルなお値段で入手することが出来ました。
燃え上がれセルロイド
加工しやすい素材として重宝される反面、その「発火性の高さ」から代用素材に移り変わっていったセルロイド。
どれくらいの発火性があるのか? とりあえず燃やしてみました。
想像以上に燃え盛るセルロイド ↑
なんという火力・・・
予想のナナメ上過ぎてしばらく声が出ませんでした。
プラスチックに成り代わられ絶滅寸前まで追い込まれるはずです・・・。
その昔は学生服の衿カラーにも使われていたそうですが、ちょっとした火種があれば倉庫全焼は不可避レベルだと容易に想像できます。
ビンテージクラスの鉛筆キャップ
お次は 「“スリットの入っていない”金属製の鉛筆キャップ」ですが、これはセルロイド以上に入手が難しいとわかりました。
昔の金属製の鉛筆キャップはスリットが入っておらず「完全な筒状」だったようで、当時のお値段は1本1円程度だったそうです。
しかし現在はビンテージ価格が付いており、かろうじて発見した製品がこちら。
お値段なんと¥7,200
文具愛好家のリクエストによって復刻された系の商品でしょうか?
個人的に欲しくなり購入を検討しましたが、さすがにロケットで飛ばして回収不可の片道切符ではコストが到底合いません。
力業でなんとかしてみる
燃料までは入手できましたが、ロケット本体で二の足を踏むことになろうとは・・・
「スリットの部分を半田付けすれば!」とも考えましたが、キャップ本体を炎で加熱するため接着部分が剥離することは容易に想像が出来ます。
溶接レベルでの接着をしなければこのプランは難しいと判断。
いろいろ案を練った挙げ句、スリット部分にアルミパイプを被せることで筒状のキャップを再現することに決まりました。
まずは材料の調達
100円ショップで「鉛筆キャップ」を購入。
そして、ホームセンターにて「アルミパイプ」を入手しました。
アルミパイプに4cm間隔の印を付けてカットします。
ロケット本体の加工は丁寧に
~ その日の昼休み ~
いつものように青空工作室が登場。
金ノコにてひたすら切り落として、ガタガタになった断面を綺麗に削り滑らかにします。
無事カバーパーツの加工が完了しました。
次にキャップの口元にあるフチをペンチでカット。
コレが ↑ こうなる ↓
切り落とすことでアルミパイプとの隙間が無くなり接着剤の食いつきが増します。
今回使用する接着剤「J-B Weld」
アルコールストーブを作った時も大活躍でした。
バイクのエンジン等、発熱を起こす金属部分に最高のパフォーマンスを発揮するアイテムで「摂氏300℃までならガンガンイケるぜ!」と裏面に英語で説明されてました。(実際は210℃くらいだそうですがそれでも十二分に素晴らしい性能です)
A液とB液を混ぜる“エポキシ式”の接着剤のため丁寧に混ぜ合わせることが重要。
1分程混ぜ合わせると良い感じの粘りが出てきました。
例えようのない今まで嗅いだことのない匂い・・・
なんとなくガソリンに近い?とりあえず燃焼物と愛称の良さそうな雰囲気に期待が高まります。
隙間を封鎖するため接着剤を多めに塗布。
あいまいな接着だと後々暴発による事故に繋がりかねないため自然と慎重な面持ちでの作業となりました。
とりあえず完成
接着剤が完全に硬化したのを確認。
長い道のりでしたがここに3機のロケットが完成しました。
毎度のことながらニッチなモノを作るなぁ・・・ としみじみ眺めながら「どこで発射実験しようか?」と弧を描いて飛んでいくロケットを想像していました。
○
次回は「発射台」の制作方法をご紹介。そしてとうとう発射実験を行います!