直したはずの時計バンドの修理記録 – 折れた金属ピンの除去と補填 後編 –

「軽はずみな気持ちで無計画な行動を取ると、ろくな事にならない」という類のお話です。

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※今回の修理方法も力業過ぎて人様にオススメできるものではありませんので、決して真似をしないでください。

前回までのあらすじ

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金属ベルトのピンが折れたーーッ  \(^o^)/

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よ〜し、こうなったら自分で修理しちゃうぞ!

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?! 思っていたよりやっかいな感じやないか〜い!

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よっしゃ!力業でなんとかするぜ!

あれ? ベルトが完全に・・・

締まら・・・ないよ ←イマココ

原因を特定するため入念なチェック

何度押し込んでも隙間が開いてしまうため、一旦腕から取り外して細部を確認してみました。

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一見しただけでは違和感を感じません。

続いて裏返してチェック。

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なんか・・・

若干、歪んでいるような・・・

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あ、絶対歪んでるよねコレ。

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ズレまくりじゃんか! 

どうしてこうなった・・・

色々検証した結果「ピン」に対して「穴」が若干大きかった模様。

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図のように、穴の中で斜めになった状態でピンが固定されてしまったようです。

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「ピンが抜けないように」と慎重に接着剤を垂らしたつもりが、予想以上に注入されていた・・・

行き当たりばったり + ろくに検証もしなかった自分の無計画さを呪います。

「ピン」を除去する方法を考えてみる

硬化してしまった瞬間接着剤を除去するため、思いつく限りの方法を考えては頭で整理していきます。

今回は極細の穴に入り込んでしまった接着剤を取り除く必要があるため「削る」等の作業は不可能と判断。

一番ダメージが少ないと思われる「煮込み」を試みました。

「高温の熱湯で煮ればとりあえず溶けるのでは?」 と、安易な期待を込めてセッティング。

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アルコールストーブで火を起こしてシェラカップを置き、沸騰したお湯にベルトをつけ込んで20分ほど茹でてみます。

作業中は無我夢中でなんのツッコミ感もありませんでしたが、時間が経過して冷静な気持ちで見ると大変シュールな光景なのだと気付きました

(´-`).oO( えーと、コレ・・・なにしてるトコだっけ?)

結果は、当然の如く失敗。

予想ではピンがポロッ」と穴から重力落下してくるハズだったんですが・・・

残念な結果にモヤモヤしながらアルコールストーブの消火を試みます。

思いもよらぬトラブル

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消火蓋を被せて「空気の入り口」を塞ぎ、酸欠させて火が消えるのを待ちます。

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いつもならば数秒で火が消えるのですが、今回は勢いが弱まる気配がありません。

それもそのはず。

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ストーブの繋ぎ目から気化したアルコールが漏れているではありませんか。

こうなっては正規手順での消火は不可能です。

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「濡れた雑巾」を被せれば簡単に消すことができますが、終始グスグスな展開の連続で気力が萎えてしまい、ただ呆然と火を見つめます。

追い詰められた果てに

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それは、ゆったりとした時間でした。

アルコール燃料が尽きるまで目的のない湯沸かしを淡々と見つめながら、

(´-`).oO(次は接着剤を溶かす系の薬品を使ってみようかなぁ・・・)

と、次の手段を考えました。

失敗に次ぐ失敗で精神状態も良くなかったんだと思います・・・

なんの考えもなく、

微塵の躊躇も無く、

 焼きました(1,400℃)

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 焼きました 大事なことなので2回(略)

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ものの数秒でチタン特有の美しい焼き色が!(白目)

5秒ほど炙った結果、

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抜 け ま し た 。

予想に反してピンが「ポロッ」と穴から重力落下してきたときは、一体何が起きたのか理解できず、

「これは夢か!?」

と真面目にツッコミをする始末。

冷静に考えて1,000℃を越える高温に接着剤が蒸発する形で降伏したようです。

夢のようだけど夢ではなかったので、焼き色は付いたままという現実

慎重にピン打ち(改善Ver)

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穴全体に瞬間接着剤が行き渡ると悲惨な目に逢うことを思い知ったので、今度はピンの「先端のみ」に塗布。

しっかりと乾燥させてピンを太らせることで、抜け防止の「抵抗」を作ります。

穴に対してやや大きめの直径になったピンの先端をゆっくりと沈めました。

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続いて取り出したのは「メディウム」。

画材として販売されていますが乾燥すると樹脂のようなコーティングが施されるので、表面の保護に使用することが多く重宝しています。

↓ノートカバーも「色写り防止」のために表面をメディウムコーティング済み。

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針の先を使って、ピンの入り口を塞ぐように塗布。

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数時間後、しっかりと蓋をした状態でカチカチに固まりました。

乾燥すると透明になるため目立ちません(焼き色はバリバリ主張していますが・・・

修理完了

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修理後、腕に巻くまで不安だったベルトのズレも解消!

焼き色が付いた箇所がカバーで隠れる部分だったのは不幸中の幸いでした。

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解除するとこんな感じ。

チタンやステンレスの焼き色が大好きな自分としては「アリ」な仕様となりました。

今回のまとめ

・交換するピンは頑丈かつ純度がしっかりとした金属を使用する。

・茹でても瞬間接着剤は剥離しない、1,400℃の温度で焼けば蒸発する。

・チタンの焼き色は綺麗だが元の状態には戻らない。

トラブル三昧でしたが色々と学ぶことが多かった出来事でした。

その中でも一番痛感したことは、

「時計の修理全般は迷うことなくその道のプロに依頼する」

ですね。

今後、時計関連でのトラブルが起こった場合は即修理に出す予定です。

「なんでココ、焼き色が付いてるの?」

とツッコミを受けることは容易に想像できますが・・・

後日談

修理から約2週間ほど経過したある日。

手荒に扱ったワケではないんですが、ごく普通にピンが抜けました。

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金属に対してメディウムの食い付きがよくなかったみたいです。

次はどうやって蓋をしようか・・・

 それともいよいよ修理に出すか・・・

選択を迫られながらぼんやり考えているうちに、ある変化に気付き息を飲みます。

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あれ? コレ・・・ 錆びてる?!

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拡大して見てみると「皮脂汚れ」にも見えますが「錆」ともとれる微妙なライン・・・

汗を搔く季節でも無いため、ただの汚れと信じて経過を見守りたいと思います。

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