定期的に思い出しては検証を繰り返す「オイルの揮発性問題」。
「綿」とは異なる素材を使い、1ヶ月以上をかけて実験してみました。
※ご紹介する内容を実際に行うと、ZIPPO社が提供する「永久保証」を受けられなくなる可能性があります。
また、火気を扱う実験になるため火災・事故につきましては一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。
目次
永遠のテーマ「ZIPPOオイルの揮発問題」
過去何度か実験を試みている「ZIPPO燃料の揮発性」の改善。
この問題を解決できれば燃料を追加する手間が大幅に減らせるため、なんとか良い方法はないか?と検証を繰り返していますが「コレ!」といった策は未だ無く・・・
サードパーティー製のアイテムを使ってみたり、穴を開けて改造してみたりと奮闘しては見ましたが、大きな前進は見られないままでした。
今回は方向性を変えてZIPPOの中身(綿)の部分に焦点を当て、それに変わる媒体をいろいろ試してみます。
「綿」の限界を知る
ZIPPOライターに入っている「綿」
液体のままだとアルコール並みに揮発してしまうZIPPOオイル(燃料)を浸すことで、そのスピードを遅らせることが出来ます。
この「綿」を保水性が高く吸水性に優れた媒体に切り替えれば、問題が解決出来るのではないか?と考えました。
「綿」がダメなら「ゼリー」を使えばいいじゃない
「保水性」と聞いてまず最初に思いついたのが「高吸水性ポリマー」
細かいビーズのような樹脂に水を含ませると、吸収して倍の大きさに膨張 → 数日に渡って水分をキープ可能。
「サイエンスが未来を切り開く」を地で行く化学技術の結晶です。
本来「綿」を詰めている場所に、この「ゼリー状」を注入すればオイルの揮発が緩和さるのではないか?と仮説を立て、実験を開始しました。
早速100円ショップにて購入。
園芸用として使用する「粒状のポリマー」が本命でしたが、店頭に置いていなかったため商品として加工されたものを選択。
「冷却用のスカーフ」として形を変えていますが、中身に「吸水ポリマー」が使用されていることが「組成表記」から確認できます。
類似のアイテムを過去に使用したことあるため、その保水性は実証済み。
初回から期待が高まります。
開封後、迷わずハサミを投入。
取り出された中身 ↑
乾燥して粒状になった「ポリマー」がザサッーっと出てくると思いきや、中から出てきたのはコットンシートのような布。
(´-`).oO( なんか思ってたのと違う・・・ )
不安な気持ちを抑えつつ、とりあえず水をかけてみることにしました。
まずは「水」を加えてみる
3cm角のサイズに切り取り、上から水を注いでみること数秒。
瞬時に「吸水 → 膨張」と状態が変化しました。
近付いて確認してみるとシート状になっている間にサンドイッチされている「ポリマー」が確認できます。
これは・・・ 真面目に期待できそうな予感がしてきました。
次は「ZIPPOオイル」を加えてみる
期待を込めてZIPPOオイルを染みこませていきます。
瞬時にオイルを吸い込んで、
吸い込んで・・・
吸い・・・
あれ?
先ほどの「水」と比較すると半分も吸い込んでくれません。
このまま5分ほど放置していましたが状態は変わらず・・・
乾燥した室内にて1時間後に状態がどう変化するのかを比較してみました。
〜 1時間後の状態 〜
力の限り水分を取り込むことで厚みが増した「水」は半分ほどの厚みになりました。
対して、吸水が半分ほどで止まってしまった「ZIPPOオイル」は、
・・・ペラッペラです。
ただでさえ取り込んだ量が少ない上に揮発性の高いオイルと相まって完全に元の状態に戻っています。
この時点で「高吸水性ポリマー」の採用は見送りとなりました。
園芸界の保水王「オアシス」
オアシス(吸水スポンジ)↑
「生け花」などで活躍する吸水 & 保水性の高いスポンジです。
「保水性」と聞いて2番目に思いついたのがコレ。
スポンジのような無慈悲な吸水性はもはやお墨付きですが、先ほどの実験結果から「ZIPPOオイル」とは「水」と似てあきらかに異なる液体なのだと痛感しました。
「どうせ “ 吸水ポリマー” の二の舞になるんでしょ!」
と、諦めの気持ち満載でオイルを流し込みます。
「んんっ!?」
オイルをふりかけること5秒。
結構な勢いで降りかけましたが 微塵も漏らすことなく全てスポンジの中に消えていきました。
高まる期待を抑えつつ、実験のハードルを少し上げてみます。
「オイルの水たまり」を作り、その上にオアシスを投下。
【 2 秒 後 】
瞬殺でした。
オアシスを置いた瞬間に水たまりが消滅。
熱したフライパンに水滴を落としたような・・・ とりあえず一瞬の出来事でした。
表面の状態を見る限りまだまだ余裕を残しているようにも思えます。
ある程度の希望が見えたので、ZIPPOライターの中身(綿)を「オアシス」に換装する作業を開始。
まずはインナーユニットを取り出して内容物を取り出します。
大きさを目分量で量りながらカット。
カッターナイフで切ると「サクサクッ」とした感触が心地よく、無意識に何回も切り刻んでいました。
ある程度の大きさに切り出した後は「細切れ」にして テトリス のように隙間無く詰めていきます。
軽い力で押しつけるだけで簡単に変形するため、苦もなく詰め込み作業が完了。
オアシスはその特性から「圧力」を掛ければ 1/10 程の大きさに縮小することが可能ですが、今回は保水のマージンをできるだけ残すためふんわりした状態での実験を試みます。
豪快にタパタパとオイルを流し込んでいきます。
ここまでは理想的な流れ。その後しっかりと着火できれば御の字ですが・・・
(´-`).oO(ここまでは上手く行って、そこから落とされるのがいつものパターン・・・)
ネタの神は降臨することなく、着火することができました。
「綿」とは異なり揮発の勢いがセーブされているのか? 驚くほど「トロ火」からのスタート。
それから何度も着火→消火を繰り返したり、ポケットに入れて持ち歩いたりと、普段使いに何も影響のないことを確認した上で本格的な比較実験に移ります。
「綿」との比較を開始
実験するための準備
ZIPPOで標準に使用されている「綿」を入れたライターと比べて、「オアシス」がどこまで健闘できるかを検証してみました。
まずは2つのZIPPOライターを用意します。
※向かって左のライター(金色)は「アーマーシリーズ」と呼ばれるもので、標準のZIPPOに対して若干の「厚み」があります。微細な差異ではありますが、検証結果に影響を及ぼす可能性があることをご了承ください。
条件をなるべく均一にするため「ウィック(芯)」を新調しました。
「綿」も新しく用意して丁寧に詰めていきます。
先ほど実験に使用した「オアシス」を全て取り出して新品に入れ替えました。
実験時の「揮発性」を上げるため、ウィックの高さ(長さ)はいつもの倍に設定。
思わぬハプニング
中身の装填を終えて双方をひっくり返してオイルを注入していきます。
(今更ながら「オアシス」の異質感が凄い・・・)
プラスチックのカップにオイルをなみなみと注いで、
スポイドにて計量していきます。
手始めに「綿」の方から【20ml】ずつ注入。
「トレイ」にオイルが染み出したところで注ぐのを止めます。
4回目の注入でジワリ・・・と染み出してきました。
合計で【80ml】のZIPPOオイルが入ったことになります。
ライター周囲のオイルを拭き取ってから着火。
燃料に満ち足りた状態に歓喜しながら「腹ん中パンパンだぜ!」と言わんばかりの火柱が勢いよくほとばしります。
同条件で「オアシス」の方にもオイルを染みこませていきます。
抜群の吸水性を見せつけられているためガンガンオイルを注いでいきましたが・・・
漏れました \(^o^)/
残り【10ml】を残したところで大量にオイルが染み出す といった驚きの展開。
オイルの保有率は「綿」より劣る事実に狼狽しながらこぼれたオイルを拭き取りました。
あと【10ml】をなんとか入れようと努力はしてみましたが上手くいかず、結局「綿」にハンデを与えたまま検証実験へと移ります。
双方並べて着火してテスト。
ウィックを高めにしたこともあり、炎の勢いが激しい「綿」に対して、相変わらずトロ火の「オアシス」。
実験の結果は後半にまとめています。