プラスチックを染めてみよう -樹脂着色用染料「SDN」を利用した染色実験-

プラスチックを染めると言えばコレ!

と、自分の中では一番に浮かぶ 樹脂着色用染料「SDN」を使ったプラスチックの染色方法をご紹介します。

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事のはじまり

某日、趣味で楽しんでいる「ヨーヨー」を購入するためWebサイトを徘徊。

数ある中で選択したのは下記の機種 ↓

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非常に美しいクリアブルーの成形色が購入の決め手となりました。

焦る気持ちを抑えて「注文確定」のボタンをポチリ。

手に取る瞬間を想像しながらブラウザーを閉じます。

好きなものを購入する過程でここが一番楽しい時間帯かもしれません。

(´-`).oO( あぁ・・・ 届くのが楽しみでござる )

〜 それから数日後 〜

待ちわびたヨーヨーが届きました。

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開封して感じた違和感・・・

(´-`).oO(あれ?なんか色が違くね? )

写真で見るより「赤み」が強く、「青色」というよりは「紫(パープル、ラベンダー色?)」に見えます。

購入したサイトにて商品説明の画像を何度見直しても手元にあるような色味ではありません・・・

(´・ω・).oO( 楽しみにしてたのに・・・)

 

と、購入前とのギャップに凹みながら「何とかならないものか?」と思考をめぐらせます。

プラ染めの救世主「SDN」

そんな経緯で取った対策方法。

   \ てってれ〜♪ /

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S D N 〜  (エス・ディ〜・エヌ〜)

「プラスチックを染めるのならばコレ!」と(自分の中では)自信を持ってオススメできる染色剤です。

世に出回っている「プラスチック」と呼ばれる大半の樹脂素材に対応しており、基本的に「液に浸して煮る」だけで簡単に染色が可能。

前置きが長くなりましたが、実際にプラスチックを染めてみましょう。

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取り出したのは別のヨーヨー。

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このようにキャップ部分が取れる仕様。

本体の青色に対し、このクリア具合が気になっていたため事前に染色テストを行う素材として選択しました。

染色前の注意

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用意するものは「SDN」「計量カップ」「鍋」「ザル」「コンロ」「温度計」。

「SDN」の液を浸す「鍋」と「ザル」はステンレス製が好ましくアルミでは鍋自体が染まってしまうため二次利用が難しくなる

しかしながら100均には「アルミ鍋」しか置いてなかったため 、経費削減の精神に従い強引に事を進めることにします。

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「SDN」の原液“1”に対し、水を追加して“20倍”に薄めます。

(※写真の状態から水を200ml追加)

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薄めた状態でこの濃度・・・

※直に触ると皮膚が染まってしまうため、「ゴム手袋」の着用は必須です。
万が一の事を考えて「防塵メガネ」と「マスク」も着用の上で作業を行ってください。

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「薄めた液」を鍋に注いでコンロにかけます。(※液が飛び散った後の惨事を考え、屋外での作業となりました)

屋内で行えば温度管理の面で楽なのですが「20倍に薄めた液体」とはいえ、白い壁に散ろうものなら拭き取ることはまず不可なので ←(数分前に経験済み汚れても問題のない屋外で行います。

誕生日にもらったケーキを始まり、今年は本当に「青色」に良い思い出がありません・・・

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大切な下準備

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染める対象物を「中性洗剤」でしっかりと洗って乾かします。

(※プラスチックに付着した「油脂」と「剥離剤」の除去)

ここを怠ると染める際に “ムラ” が起こるため丁寧に行います。

その後、水で満たしたコップに入れて1日放置。(※この処理を行うとさらに浸透具合が良い感じになるそうです)

染め液の濃度を調整してみる

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素材が「ポリカーボネート」なので「60〜80度のお湯で3〜5分」と表記されています。

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温度計をセットしてゆっくりと加熱。

※温度が高すぎるとプラスチックが溶けたり変形してしまうので注意が必要です。

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目標温度に近付いた辺りで液に投入。

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プラスチック全体が液で浸されるように沈め、こまめに振りながら気泡を取っていきます。

表記通り「3分」が経過。

ん〜? あまり色が付いていないような・・・

再び沈めて「2分」プラス。

この時点で「5分」が経過。

確認したところさっきとそんなに変わっていません。

不安な気持ちを抑えつつさらに「10分」追加。

煮込み始めて「15分」が過ぎました。

液を薄めすぎたのか? これ以上色が濃くなりません・・・。

少しだけ温度を上げて「さらに5分」追加。

この時点で「合計20分」煮込んだことになります。

期待を込めつつ確認。

(  ´Д`)「あ!なんか良い感じ!」

とはいえ、想定したのは“さらに濃いブルー” なので「追加で10分」煮込むことにしました。

〜 10分後 〜

残念ながら激的な変化は確認できませんでした・・・。

これが限界なのでしょうか?

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ここからはメーカーの推奨を無視して原液を少量追加してみます。

ザルを取り出すことなくじっくりと「10分間」煮込んでみました。

Σ(;´Д`) あ!理想的な青色!!

結局のところ希釈し過ぎていたのでしょうか?

「20倍希釈」のところを「15倍」ほどの濃度に調節したことで事態は改善しました。

染色前と比べるとまったくの別物です。

色ムラもなく均等に染料が定着しました。

本 命 投 入

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染料液の調整ができたので、ヨーヨーを分解していざ本番!

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様子を見ながら「10分」煮込みます。

〜 10分経過 〜

Σ(´Д`) おおっ!

なんか良い感じで青くなってる!!

先ほど水揚げしておいたキャップも一緒に並べて、さらに「10分」浸け置きします。

〜 10分後 〜

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最終的に「原液」を少量追加したことが功を奏したのか、理想の「青色」を定着させることが出来ました。

染められたプラスチックは流水に晒しながら中性洗剤を使って洗います。

何度かヒヤッとした場面もありましたが最終的に「理想的な青色」になりました。

キャップに関して言えば、「元からこんな色だった」と言われても疑いようのないレベルです。

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水洗いが終わったら、風通しの良い場所に置いて自然乾燥。

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使用済みの溶液は、

「200倍の水道水で洗い流す」「ペットボトルに移し替えて涼しい場所で保管」のどちらかを選択してください。

原液は有毒物なので土にそのまま流したりするのは厳禁です。

個人的には「ペットボトルに保存」がオススメ。

染料液の状態にもよりますが、2〜3度の使い回しが可能でした。

染める対象物から塗料が溶ける等、染料液への影響あった場合は再利用不可。

〜 2時間後 〜

しっかり乾いたので事前に撮っておいた写真と比較してみます。

これは・・・ まったく別物ですね。

正直ここまで理想的な結果になるとは思ってませんでした。

(´-`).oO(プラが割れるとか、染めムラが起こるとか絶対起きると思ってた・・・ 思ってた。)

今回の結果は「SDN」の仕事ぶりを改めて見直す結果となりました。

難を言えば取り扱っている店舗数が限りなく少ないといったところでしょうか・・・

東急ハンズ以外で見かけたことがありません

入手するとなると通販を利用することになりますが、送料を取られたとしてもおつりが来るくらいの恩恵はあると思います。

以上、「SDN」の染色実験とそのレポートでした。

追記レポート

【7月13日 : 追記】

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余った溶液を鍋で温めて染色に再挑戦してみました。

前回の反省を踏まえて下準備をしっかりと行ったため、想定した以上に良い仕上がりです。

淡いパステルブルーがキリっとした深い青色になってます。

あまりにムラ無く染まっているため、記録した写真が無ければベース色を思い出せないレベルでした。

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前回染めたクリアブルーのヨーヨーも再び溶液に浸すとこの結果に。

青色の深みが増し、重厚感が加わったように見えます。

一度染色作業を行い、時間を置いて2回目の染めを行う方がムラ無く濃い色を付けることができました。

染色して流水にてさらし、中性洗剤でしっかりと洗って乾かせば問題なく使用できるのですが、ヨーヨー本体に接触する「糸」に薄い青色が着いていることから、多少の移染が起こるみたいです。

作業を一通り行って乾燥後、溶剤の匂いが消えるまでしばらく放置することで移染問題は緩和できました。

染まった色の深さを確認

「どれくらい奥まで染まっているのかを確認したいなぁ」と疑問を浮かべてから数日後、うっかり床にぶつけてしまった箇所から地の色が顔を出しました。

もっと奥の方まで染まっていると思いきや、スプレー塗装とそんなに変わらないほど手前で色が止まっていた事に驚きを隠せません。

〜 2017 . 4月21日 追記 〜

作業の簡略化を含め、ビーカーを使った染色方法を検証しました。

少しの改善で作業効率が上がります。

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