「切って、立てて、飾るだけ」と簡単に考えていたら、想定した以上に大変だったお話完結編。
前回までのあらすじ
今年のイルミネーションは屋根に木を立てるよ!
枝が欲しくて山に行ったら大変なことになったよ。
理想的な木をゲットしたよ。
葉っぱを落としたいから1週間放置して枯らせるよ。 ← イマココ
【それから1週間後】
葉っぱの水分が完全に抜けきり、見るからに「枯れ木」となりました。
面影が全くないほどシオシオに枯れています。
↓↓↓
(´-`).oO(正直ここまで枯れッ枯れになるとは思わなんだ・・・)
軽く握って枝をなぞるだけで簡単に葉っぱが「ボロボロッ」と落ちていきます。
これを繰り返すこと10分ほど。
キレイな枝のみが残りました。
下準備に費やした手間と時間を思い出すと、驚くほど簡単に作業が完了したことに感動すら覚えます。
大量の枝を握ってはこそぎ、ミノムシやカマキリの卵を握って「うわぁ・・・」と呻くこと十数回。
1時間ほどの作業で葉っぱの除去作業が完了しました。
この時点で企画してから1ヶ月ほどが経過。
本腰を入れてコンセプトモデルの制作に入ります。
枝の組み合わせとか設置方法とか
以下、準備する一覧。
まずは「3mほどの板」を地面に2枚敷いて、「養生テープ」にて固定。
木を立てるための土台として使用します。
そして先ほど「葉っぱを落とした枝3〜4本」を準備。
枝同士を繋ぐための「針金(太め)」と支柱を土台に固定するための「L字金具」。
支柱となる「細い木の棒」(今回は「柵用の木材」を用意、5本で540円!コスパ高し)
土台用板の上に「L字金具」を打ち込み、「細い木の棒」を四方からテントのように立てて、
枝の固定するためにガムテープの芯(円柱状で頑丈ならば何でも可)を板の上に貼り付けます。
※本番では直径の大きい「塩ビパイプ」を使用しました。
全体のバランスを見ながら枝同士を組み合わせ、針金を巻き付けていきます。
仕上げにドライバーなどを使用してクルクルと回します。
番線を締め上げる要領でガッツリと固定すれば、
ベースとなる木が完成! ↓
四方を支柱で支え、根元をガッチリ固定しているお陰で力強くに揺らしても倒れる気配がありません。
巻き付けて点灯
続いて電飾を用意。
10mの長さのLED(青+白色)1,000円程で入手ためお財布的にも嬉しいアイテム。
複雑に入り組んだ枝に巻き付ける作業は思っていたより時間が掛かるため、
通りかかった社長とデザイナーのミムラさん を利用して にお願いして、枝に電飾を巻き付けてもらいました。
何とか日が落ちるまでに作業が終了。
周囲が暗くなったところで電飾を点灯!
電飾の効果でちゃんと「枝感」が強調されて良い感じ。
欲を言えばもう少し強めの光が欲しいところですが、概ねこの作り方で大丈夫そうです。
さすがに一人で5本作るのは骨が折れるため、社員の力を借りて本格的に増産することにしました。
みんなで量産
翌日、製作方法を伝えてイルミネーションの設置作業を開始。
枝を均等に振り分けてグループ化していきます。
高いところからチェックして確認。
振り分けが決まったら針金で繋いでいきます。
2時間ほどの作業の後、イルミネーションの木が「5本」完成しました。
屋根の上に設置しよう
11月19日(日曜日)
平日に行うとデザイン業務や仕事関連の電話対応があるため、集中できる休日を選んで作業を開始。
世間では「休日出勤」と呼ぶそうですが、作業内容が内容だけに出勤と呼んで良いのか・・・と悶々とします。
日が落ちてしまっては作業が困難となるため、効率を考えながら作業手順を組んで行きました。
まず手始めに「土台の設置」から。
屋根に直接穴を開けるワケにはいかないので、土台となる板を並べます。
ただ置いただけでは風に飛ばされるため各箇所をワイヤーで固定。
土台の設置が完了したら、前日に組んでおいた木を固定していきます。
風の強い日でしたが「これでもか」と言わんばかりにガッチリと固定しているため、折れたり倒れたりする気配はありません。
この時点で社屋の前を通り過ぎる近所の方々が
「え?・・・あれって・・・木だよね?」
と異変に気付き始めました。
「今年は木を植えるんですか?!」と、町内会長を名乗る男性にも声をかけられリアクションに困ったのは良い思い出です。
ここで電飾の巻き方がビジュアル的にもう少しキレイにならないか?と検証を試みます。
実験的に1本だけ枝の本数を間引き、
枝に巻き付けるようにして電飾を固定。
こうすることで「更なる枝感」が強調されるのでは無いか?と期待します。
見た目の差は歴然ですが、暗いところで実際に光らせてみた差は皆無でした。
(むしろ手間が掛からないだけ通常版の方が数倍メリットあり)
(´-`).oO(時間返して・・・)
作業も昼に差し掛かかる頃、注文していた「屋根作業に特化した靴」が届きました。
丸五ゴム 株式会社 「屋根やくん」(2017グッドデザイン賞 受賞)
独自形状の靴底のお陰で不安定な角度の床もしっかりとグリップが効いて安心。
傾斜のある屋根に対して様々な工夫が施されており、事ある毎に「おぉ〜」と感嘆の声が漏れます。
ここ数日屋根を歩き回りながらツルッと滑り「ヒヤッ」としたことが何度もあったため、適切な道具を導入は精神的な安心にも繋がりました。
最後の仕上げ
設置が進み全体の様子が露わになってきた頃には陽が落ち、徐々に辺りが暗くなっていきます。
この頃になると例年とは違う異質な屋根に足を止めるギャラリーが増えてきました。
「ガンバレー!」と小さな子供の声を聞こえモチベーションが上がっていくのを感じます。
「この場所こそが俺の生きるステージ!」と妙な使命感に駆られるのですが、
ふと我に返り「自分の職業はデザイナー」であり、
「休みの日になんでこんな事やってんだろ?」とか、
「設置作業のせいで滞ってる仕事(デザイン)をどうやって処理していこう・・・」など考えていました。
そうこうしているうちに全てのアイテムが設置完了。
改めて全体を見渡してほっとひと息。
ここまでの道のりを思い出すと込み上げてくる達成感は格別でした。
完全に日が落ちたのを確認して、イルミネーションの電源をオン。
最初に立てたコンセプト通り「広い面積のアイテム」を並べることで、昨年と比べて1/4程度のアイテム数で賄うことができました。
既存アイテムの破損、素材の不足、その他もろもろのトラブルから始まった今回の件。
目標をなんとかクリアすることができたため、心残り無く年末年始を迎えられそうです。
「枝」その後
屋根のイルミネーションを終えてひと息。
周囲の掃除を始めながら「木の枝」が少し余っていることに気付きました。
まあ、これだけの数量があれば余ることは安易に想像できたわけですが・・・
大変な目にあって入手した貴重な枝だけあって、そのまま捨ててしまうのは勿体ないため、
玄関先にクリスマスツリーを作ってみました。
枝さえ手に入れば、簡単な部類のDIYなので興味ある方は是非。
作り方は次回ご紹介します。