キラキラ光る屋根の川
「御社の近くまでは来てると思うんだけども・・・」
遠方より来社されたお客様から受話器越しに問い合わせを頂いた際、
「屋根にやたらとイルミネーションが設置されてる建物をお探しください。」
テンプレ文章の如く説明するだけで、
「イルミネーション・・・ あぁ! あそこか!」
と、リアクションが返ってくるやり取りは、もはや年末の恒例行事のようになっています。
普段は目立つ看板や建物が近くに無いため目的地としての説明に苦労を要しますが、
この時期だけはサックリと事が済んでしまうのは全てコレのおかげ ↓↓↓
何の会社なのか想像できないレベルの密度を誇るイルミネーションの集合体・・・
(写真は2016年のもの)
(´-`).oO( 来年以降はどんな暴走が起こってしまうのだろう・・・)
と思ってたら“木”が生えました。
お客様への場所説明も
「屋根から“木”が生えてる建物を探して頂ければソコです」
と、ツッコミどころ満載な説明をする予定ですが、未だこの言葉は発することができていません(残念)
昨年までは専門の大工さんにお願いしていたイルミネーションの設営ですが、
諸事情によりデザインから制作/設営までを デザイナーが一人で行う 事になってしまい、
設営完了までの数日は、机に座る時間よりも屋根の上にいる時間の方が長い生活を余儀なくされてました。
デザイン案件が押しかける年末の殺伐とした時期にコレ。
仕事に追われながら日増しにピリピリしていく精神で、自分の意思とは関係無いところで開封されたパンドラの箱の処理に奮闘した2ヶ月弱。
今回はそんなお話です。
唐突に来た世代交代
今からさかのぼること2ヶ月前。
薄手のコートでは肌寒く感じ始めた10月の某日。
会社の屋根を眺めながら一人悩んでいました。
理由はコレ↓
毎年イルミネーションを担当していた大工さんから「今年の設営は難しい」との申し出を受けたのが今年のお正月。
今年で年齢が70歳にもなるとそろそろ難しいかな・・・
と心の準備はしていましたが、いざ本人の口から聞くと「とうとう来たか・・・」といった気持ちになりました。
「じゃあ次からは誰がやんの?!」との問題が社内で発生しましたが、
ある時は花壇を粉砕し、
またある時は建材を組み始める実績から、今年の製作/設営担当を 押しつけられる 任されることになりました。
「あ、今年は自分がするんだ」
と、その当時は軽い気持ちで引き受けたのを今でも覚えています。
パンドラの箱は開いてた
「とりあえず現状の把握に」と倉庫に足を運び、昨年まで屋根を彩っていたイルミネーションの機材を手に取って絶句。
保管されていたアイテムの半分以上が破損
という予想外のトラブルに直面しました。
雨風に晒されていた経年劣化に加え、あまり良くない保存環境のせいで各自トドメを刺されたようです。
壊れたアイテムの買い直しを考えて計算機を叩きますと、軽く10万円は超える数字が表示されて更なるショック!!
軽い気持ちで足を運んだ倉庫にて、
限られた予算内でキラキラ光るアイテムを自作するイベントが突発的に追加されてしまいました。
ぶっちゃけイルミネーションそのものを無くせば済む話なのですが、色々と大人の事情的なものが発動しており、そう簡単には辞めることができないご様子。
さて、割とリアルで困りました・・・
昨年までは暴力的なまでの物量で屋根の広い面積をカバーしていましたが、今年はその荒技が使えません。
試行錯誤した結果、幅広い面積のアイテムを低コストで自作することでなんとか誤魔化していく方針を採用しました。
早急に画像加工を行い、おおまかなイメージを固めていきます。
脳内を具現化したイメージ↑(クソ☆コラ クオリティ)
幅広い面積のキラキラ光るアイテム = 木にLEDを巻き付けたツリー
安直ではありますが非常に理に適った案のように思えました(当時は)
木材の確保さえ上手く行けばコスト的な問題もクリア出来そうな予感がします。
ここまで来れば、周囲がドン引きするほどの物量を植樹してやろう!とも企みましたが、
弊社会長より「子供達が喜ぶ感じにして欲しい」とのリクエストがあったため断念。
浮かび上がった問題点
脳内具現化イメージ Ver.2 ↑
“破損を免れたイルミネーション” を組み合わせる想定でいくと、木の数は5本あれば事足りることが判明しました。
しかしここで問題発生。
理想的な木のイメージはこんな感じ ↓ ですが、
注意深く木の構造を観察してみると、屋根に設置可能な大きさでは「枝の分岐」が貧相であることに気付きました。
巨木になればなるほど理想的な分岐を持つ木となるのですが、今回設置するのは屋根の上・・・
大きさと重量の制約があるため「大木を切ってそのまま移植」という荒技が使えません。
そこで大きな木の「枝」を各ポイントで伐採して、
パーツ単位で組み合わせることで、
擬似的な形ではありますが、理想的な形状の木を創り出すことができるのではないか?
と仮説を立ててみました。
(脳内会議では会場総立ち → 拍手喝采の解決策でした)
電飾は10mの長さのLEDが1,000円程で入手できると判明し、コスパ的な問題もクリア。
さて、問題は木材をどこで入手するかですが・・・
折角のプランも素材が手に入らなければお話になりません。
かといってその辺に生えている木を伐採するのは御法度です。
考えた結果“造園業を営む知人”にお願いして剪定後に処分する予定の枝を分けてもらうことにしました。
まだまだ続く問題点
「枝が用意できた」との一報を受け、喜び勇んで現地入り。
ところが用意されていた木材は想定していたより少なく・・・
首を傾げるリアクションを察して「ピーク時の年末に比べると確保できる量はこんなもの」との回答を頂きました。(当時は11月)
そんな状況下にも関わらず分けて頂いた貴重な素材。
使えそうな枝振りを選択して搬送準備にとりかかります。
とりあえず社用車にぶっ込み・・・
ぶっ込み・・・
運転に圧迫感を感じながらもなんとか会社にたどり着くことが出来ました。
会社の敷地内に搬入して改めて思う“量的な意味での貧弱度”
屋根に移植するには・・・
少々どころか、結構な感じで心許ない・・・
どう考えても “キラキラ光るの木” を5本作れるだけの量 をクリア出来るとは思えません。
「枝なんてそこら中にあるんだからなんとかなるっしょw」
と簡単に考えていましたが現実はそんなに甘くないようです。
これからどうしたものか・・・
藁にもすがる気持ちでヘルプの電話をコール。
数秒すると昨年までお世話になっていた大工さんの声がスピーカーから聞こえてきました。
これまでの経緯と突発的に発生したトラブル、現時点での問題を伝えると
「わかった、じゃあ山に木を切りに行こう!」
とフットワークの軽い回答が返ってきました。
「え? こんなにイージーな流れで問題が解決しちゃうの?」
と、嬉しく思っていた頃が懐かしくなるほどの夢が詰まった展開はまた次回のお話で。